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その掃除機で大丈夫?アスベスト回収用途向け掃除機の正しい選び方

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「HEPAフィルター付きなら何でもいい」は間違い!?アスベスト回収用途向け掃除機の比較・選び方【石綿・危険粉じん対応機種】

「HEPAフィルター付きなら何でもいい」は間違い!?アスベスト回収用途向け掃除機の比較・選び方【石綿・危険粉じん対応機種】

今年の初めに石綿障害予防規則が改正され、アスベストの健康被害についての認識が広まってきたことで、ここ数年で各社HEPAフィルター付きの掃除機のラインナップが増えてきたように思います。
アスベスト回収に適した掃除機の定義として特定建築材料の除去等の方法(新法第18条の19、新規則第16条の12~14)に記載されているのは「JIS Z8122に定めるHEPAフィルターを付けた集じん・排気装置を使用する」という一文ですが、既定のHEPAフィルターを搭載した機種は複数あり、価格帯にもかなりばらつきがあります。
そのため、この一文だけを判断基準にして選ぶのは難しくなってきています。

ここでヒダカショップの考える「アスベスト回収用途向け掃除機を選ぶポイント」を、注意喚起もかねてあらためて解説していきたいと思います。

アスベスト除去現場で使用する掃除機にはHEPAフィルターの性能だけでなく、アスベストを漏らさない密閉構造や適切な廃棄方法も重要です。
HEPAフィルターがJIS Z8122に適合していても、メーカーによってはアスベスト除去用途での使用を認めていない場合があります。
購入前には、アスベスト用途への対応可否や使用条件を必ず確認し、用途に適した機種を選定しましょう。

■ 基準を満たすHEPAフィルターを搭載しているか

基本中の基本として、アスベスト回収に使用できるHEPAフィルターは「JIS Z8122に定めるHEPAフィルター」のみです。
ここで間違えやすいのは「JIS Z8122規格に満たないHEPAフィルターもある」(HEPAフィルターが付いていればなんでもOKではない)ということです。
JIS Z 8122では「定格流量で粒径0.3μm(マイクロメートル)の粒子に対して99.97%以上の粒子捕集率を有し、かつ初期圧力損失が245 Pa(25 mmH2O)以下の性能を有するもの」のことを「HEPAフィルター」と定義しています。
これが万国共通の定義なら分かりやすいのですが、これはあくまで日本国内での定義で、欧州EN規格ではHEPAフィルターは目の粗さ(粒子捕集率)によって5段階にクラス分けされています。

(※↑クリックで拡大します)
そのためJIS Z 8122の規格以下の性能のフィルターも「HEPAフィルター」と呼べる場合があります
単に「HEPAフィルター付き」としか記載されていない場合は欧州EN規格の粒子捕集率の低いフィルターの可能性もあるため、一度規格や粒子捕集率を確認してみた方が良いでしょう。
また、アスベスト対策用の掃除機を選定する際は、HEPAフィルターの性能だけで判断しないことが重要です。
JIS Z8122に適合した製品であっても、メーカーによってはアスベスト除去用途での使用を認めていない場合があります
購入前には、アスベスト用途への対応可否や使用条件を必ず確認し、用途に適した機種を選定しましょう。

HEPAフィルターについてはこちらで詳しく説明しています


アスベスト対策でよく耳にする「HEPAフィルター付きの真空掃除機」とは

アスベスト対策でよく耳にする「HEPAフィルター付きの真空掃除機」とは

■ フィルターは何段か

基準を満たすHEPAフィルターが付いていることが分かったら、次にフィルターの段数(個数)をチェックしましょう。
掃除機が吸い込むダストは均一の大きさではなく、目に見える大きいダストから粉末状の細かい塵、目に見えない大きさの微粒子まで様々です。
HEPAフィルターは肉眼で見えないサイズの微粒子をキャッチできる、非常に目が細かいフィルターです。
吸い込んだ大小様々なダストがそんな繊細なフィルターに全部流れ込んだら、あっという間にフィルターが詰まってしまいます。

フィルターが目詰まりを起こすと吸引力が落ち、ダストを吸いづらくなります。
吸引したとしてもフィルターが詰まってダストが通れないため、行き場を失ったダストは掃除機本体のわずかな隙間から外に漏れだしてしまいます。

「漏れ出す」と言っても、アスベストは肉眼で見えないサイズなので目視では気づけません。
漏れにくい構造の機種を使い、漏らさないように注意をして作業するしかないのです。

フィルターの段数は「ダストバッグ」と「フィルター(HEPAフィルター)」の2段が一般的ですが、フィルターの段数は多い方がより安全です。
同等のサイズ感の小型掃除機で、現時点で一番フィルターの段数が多いのが「4段」で、現状ではニルフィスクのGM80P HEPAの一機種だけが4段フィルターを搭載しています。


GM80P HEPAは「ダストバッグ」→「メインフィルター」→「マイクロフィルター」→「HEPAフィルター」の4段階を経て段階的にダストを回収するので「もしかしてアスベストが漏れているかも…?」の不安を最大限に減らします。
粒子の大きいものから順に段階的にダストを回収していくので、最後のHEPAフィルターに到達するのは非情に少量の微粒子のみで、目詰まりしにくいのもメリットです。


ニルフィスク 産業用 バキュームクリーナー GM80P HEPA クリーンルーム・アスベスト用

ニルフィスク 産業用 バキュームクリーナー GM80P HEPA クリーンルーム・アスベスト用


また、最近ではダストバッグ(フィルターバッグ)そのものがHEPAフィルターになっている1段フィルターのタイプの掃除機も増えています。背負い式のバキュームクリーナーに多く見られる構造ですが、前述のとおり吸い込んだ大小様々なダストがすべて目の細かいHEPAフィルターを通ることになるので、吸い込みにくさや目詰まりのしやすさ、漏れやすさのリスクは念頭に入れておいた方が良いかと思います。
特に背負い式の場合、吸引ホース接続部が作業者の呼吸器(口や鼻)に近いため、回収後のアスベストが漏れた場合に安全面で非情に不安を感じます。

■ フィルターの大きさ

また、各フィルターが大きいと、それだけ一度に受け止められる粉じん量も多くなります。
小さいフィルターでは受け止めきれない量の粉じんを一気に吸い込んでも、大きいフィルターなら余裕を持って捕集できるため、目詰まりのリスクを抑えられます。
GD930 PRO S2 HEPAは15Lの大容量のダストバッグを採用し、HEPAフィルターも大きく取って面積を確保していますし、GM80P HEPAは一見コンパクトに見えるメインフィルターですが、折りたたんで組み込まれているため、伸ばすと実際はかなり大きなフィルターが設置されているのがわかります。

↑GD930 PRO S2 HEPAのフィルター

↑GM80P HEPAのメインフィルター


ニルフィスク 業務用 アスベスト 石綿対応 ドライバキュームクリーナー GD930 PRO S2 HEPA

ニルフィスク 業務用 アスベスト 石綿対応 ドライバキュームクリーナー GD930 PRO S2 HEPA

■ (!重要!)本体の密閉度はどうか

法令の定義にはしっかりと明記がありませんが、ヒダカではここが非常に重要だと考えています。
本体の密閉度、つまり「回収したアスベストが本体から外に漏れだす余地がない」状態かどうか、ということです。
一般的な掃除機の場合、金属製や樹脂製のパーツをネジやツメなどで接続して組み立ててあるのが普通です。家庭用に限らず、業務用でも一般用途の掃除機はこのような構造です。
一般的な掃除に使う掃除機であればそれでも全く問題はありませんが、アスベスト回収ともなるとそれだけでは不十分です。

ニルフィスクのアスベスト対応の掃除機を例にとると、パーツ同士の接続部分にシール(パッキン)が付いているので、接続部分が隙間なくしっかりと密着し、回収したダストを外に漏らしません
さらに固定フックで側面をしっかり固定するので、ぶつかったり倒したりした衝撃でふたが開いてしまうのを防ぎます。
また、本体の材質に弱い素材を使用している場合、使用中に内部が真空状態になることにより、外部との圧力差でゆがみが生じ、隙間が発生してしまいます。
ニルフィスクのアスベスト対応の掃除機本体は、ゆがみや変形に強い硬質プラスチックやスチールを採用しています。

以上がヒダカショップが考える「アスベスト回収用途向け掃除機を選ぶ際のチェックポイント」です。
異常に安い機種は上記のチェックポイントに不安があったり、逆に高価格帯の機種は高いだけの理由があるのがお分かりいただけたと思います。
最後に、アスベスト回収用に掃除機を購入したあとに気を付ける事をご紹介します。

■ ダストバッグ、フィルターは消耗品

HEPAフィルターだけでなく、メインフィルターやダストバッグの定期的な点検・交換も非常に重要です。
フィルターの交換時期は「ダストバッグを約50回交換したタイミング」もしくは「1年間の使用」が目安です。
アスベストは繊維の直径が0.02~0.03ミクロンという小ささなので、「見た感じ詰まってなさそうだからまだ使える」とは思わず、交換時期を守って交換してください
また、使用後は二次飛散を防ぐため、法令に沿って適切に処理してください。

■ アクセサリーの再利用はNG

アスベスト作業に使用した製品は、アスベスト繊維が残留しているため、取り扱い時に二次飛散の危険があります。
ナカヤのハリケーンゼロはアスベスト除去に使用できる集塵カバーですが、絶対に再利用はせず、二重袋に密封し、産業廃棄物として適切に処理するように案内されています。


ナカヤ 集塵カバー ハリケーンゼロ NKC-125Z 100〜125mmコンクリート平面研削ディスク用 アスベスト対応

ナカヤ 集塵カバー ハリケーンゼロ NKC-125Z 100〜125mmコンクリート平面研削ディスク用 アスベスト対応

ホースなどの標準付属品についても、他の掃除機に使いまわすことのないように管理してください。

■ 法令を守って適切な使用を!

アスベスト対応の掃除機はあくまで作業に必要な道具であって、「これがあれば安全だから大丈夫」というものではありません。
マスク・防護服・換気装置、隔離養生、作業後の廃棄・処理など、石綿障害予防規則に基づき、作業基準に沿って適切にご使用ください。
決して「アスベスト対応の掃除機を買ったから、業者に頼まなくても誰でも簡単に除去作業ができる」という性質のものではありません。個人であっても作業基準の遵守義務等は適用されるため、専門家による事前調査をお勧めします。


参考資料:厚生労働省「石綿ばく露防止・飛散防止対策徹底マニュアル



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